ブックタイトル国際印刷大学校研究報告 第18巻|富士精版印刷株式会社 FUJI SEIHAN PRINTING Co.,Ltd.
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国際印刷大学校研究報告 第18巻
2■国際印刷大学校研究報告第18巻(2018)若生彦治『情報通信時代の印刷業』Digital management of Japane’s printing in ICT societyHikoji WAKOH1.はじめに情報媒体は知識伝搬、サービス提供、経済効率追求の手段である。各国政府は国民生活水準の向上や産業競争力の強化のため情報通信(IT)機器の研究開発、起業家支援、法整備を推進している。経済先進国の1人当たりIT機器量(固定・携帯電話、パソコン、インターネット接続回線)は1998 ~ 2015年に平均年率5.9% 1)で増えている。アフリカのIT機器量は2015年の時点で先進国の4分の1であるが、先進国のIT機器増加率が次第に鈍化、この差が年々縮小してきた。この増大と逆に紙印刷物の売上高と企業数は同期間に年率3 ~ 6% 2)で逓減している。媒体の機能は静止視覚情報表示から機械機能を有するデジタル機器へ進化している。印刷業は動画・音声・データが国際経済活動を主導する経営環境の中で紙印刷物の量産加工作業請負事業の持続、成長戦略、第二創業策を探索している。2.印刷業の経営の実態日本の企業は業種と無関係に従業者1人の雇用に年間約9百万円3)の売上高(純加工高)を要する。顧客・技術進化への対応、原材料や人件費、固定費の削減にIT機器を利用している。印刷業の売上高は最盛期1997年から年率平均2.5%で逓減、20年間で6割、5兆円へ下落している。2015年の企業数および従業者数は最盛期の3分の2、2万数千社および2分の1、20万人余へ減少している。これらの統計値は情報媒体が移行期にある(図1)、売上高の逓減に従業者数の削減で対応している、廃業が零細小企業に多いを表す。米国の情報通信業は1970年代にデジタル通信網を介しヒト・モノ・カネ・情報の流れを統括管理するERP(Enterprise Resouce Planning)を開発した。ERPは顧客満足度と労働生産性の向上を目的とする工場管理システムであり、入力データ、解析結果の表示の構造形式が物流の最適化、情報共有、可視化できるように定型化されている。管理データは各地に散らばる生産販売・研究開発拠点にあるcomputerと各種機械から収集する。一部の印刷業は2000年からERPを購入し、図1 印刷業のライフサイクルと経営規模の二極化