ブックタイトル国際印刷大学校研究報告 第15巻
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国際印刷大学校研究報告 第15巻
■国際印刷大学校研究報告第15巻(2015)もこの二人の共同製作であろうと推測している。ただこの遇乞についても、記録にはこのこと以外は何も書かれていない。中国では王朝が交替すると必ずその歴史が書かれているが、西夏にはそのような歴史書は存在しないのでわからない。しかし、この複雑で画数の多い文字を公布したがこれをどのような形で全国で教えるのかが問題となる。元昊はこのことを予測していたと思うが父から引継いだ1037年に蕃漢二学院を設立している。西夏語と漢語を教える学校を二校設立して準備していたのである。二つとも言葉を教える教師の養成が急務となった。又公布と同時に全国にたくさんの学校を作り、西夏の言葉の教育を始めた。これは話すだけではなく、文化国家を目指すには読み書く能力が一番必要だと元昊が判断したのも、先見の目のある元昊の当然すぎる願望であった。西夏文字の特徴この西夏文字は、よく見て戴くとわかるように形は大変漢字に似ている。これは当然のことで、大夏と称した以前から宋との交流が深く、宋との交流においては漢字と漢語(宋の言葉)が使用されていたのである。李元昊が目指した文字は漢字を範とする文字であった。ここで漢字と新しく作られた西夏文字の違いを書いておく。漢字は古く象形文字を元祖として甲骨文字の流れを吸収して作られた文字である。そして造字の基本として六書の手法が取られていることである。即ち象形、指事、会意、形声、仮借、転注の六つの手法が漢字の造字法である。今日漢字を使用している人達は、漢字を見てそのイメージからその意味を想像することが出来る。因みに、漢字は約6万字があり、漢字字典に収録されている。漢字の分類は許慎により西暦100年に作られた「説文解字」では部首別で分類された、これが現在の漢字字典に受け継がれている。新しく作られた西夏文字と漢字の違いを説明する。写真を見て戴きたい。確かに漢字に似てはいる。しかし、1.画数が多い。2.文字から想像イマジネーションが出来ない。3.確かに偏と旁と冠りはあるのだが全く分からないと考えるだろう。西夏文字(西夏時代の木版印刷物から)番漢合時掌中珠(西夏文字・漢字対照発音字典)1190年西夏人骨勒茂才著カラホトよりコズロフ探検隊発掘品右の行から:西夏文字の発音を書いた漢字西夏語(西夏文字)漢字漢語の発音を書いた西夏文字漢字はその誕生から今日まで約3000年約6万字あるが、この西夏文字は誕生の時に約6100字が作られてからこれが使用された約300年の間に新しい文字は作られていない。そして、この300年以降は完全に歴史から忘れられて死語となってしまったのである。西夏の建国(1038年)から減亡(1227年)まで189年と、その後1345年まではこの文字が使われて22