ブックタイトル国際印刷大学校研究報告 第15巻

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国際印刷大学校研究報告 第15巻

スマートフォンへの印刷技術(PE)の応用■スマートフォン世界市場では日本の端末メーカーの存在感は薄い。だが、スマホ構成の部品では日本勢が強みを発揮している。スマートフォン構成部品を手掛ける日本メーカーは、世界市場で高いシェアを確保している。米国HISは、最新のApple「iPhone6」の実機を分解して調査した原価分析結果を発表した。HISによると、16GバイトモデルのiPhone6は、BOM(Bill of Material:部品表)に基ずく原価が196.10ドルで製造コスト4.00ドルを合わせると推定200.10ドルとなる。iPhone6には約1300点の電子部品が搭載されている。数量ベースではそのうち、およそ700点が日本製で、全体の半分を超える。日本企業は健在である。主要部品である、タッチパネル内蔵型液晶パネルはジャパンディスプレイ、積層セラミックコンデンサーは村田製作所、カメラ用CMOSイメージセンサーはソニー、カメラモジュールはアルプス電気、バッテリーはTDKとソニー等、日本製の部品が数多く使われている。2.2スマートフォン構成部品へのプリンテッドエレクトロニクス技術応用2.2.1タッチパネル近年、タッチパネルの一般生活への浸透は目覚ましいものがある。特に、スマートフォンに採用された結果、その需要が飛躍的に拡大した。さらに、タッチパネル技術は革新的に向上した。その中で、従来、抵抗膜方式が主流であったが、iPhoneに静電容量方式が使われ、爆発的に拡大して市場を占めるようになり、2013年にはタッチパネルの約7割が静電容量方式タッチパネルになった。さらに、静電容量方式タッチパネルはアウトセル型からインセル型タイプへと、スマートフォンの進化に伴い、技術革新が計られている。スマートフォンのカバーガラスの周囲は、幅の細いプラスチック製ベゼル(額縁)で囲まれている。スマートフォンの小型化、薄型化、軽量化が進むにつれ、ベゼルの幅が益々細くなる一方である。静電容量方式タッチパネルでは、薄いガラス基板の両面に透明電極を形成し、その透明電極の引き出し線として導電ペーストが、PE技術が利用されている。印刷法は実績のあるスクリーン印刷が主流であるが、しかしながら、現在のスマートフォンの画面サイズの大型化と画面周辺面積の削減(狭ベゼル化)のため、より多くの配線を狭いベゼル部分に形成するため、スクリーン印刷の高精細が進められている。アサダメッシュは線幅50μm,線間隔50μm(L/S=50/50μm)の配線をスクリーン印刷で解決した。さらに、藤倉化成はグラビアオフセット印刷用Agペーストを開発し、L/S=20μmを可能とした。又、インクジェツト印刷で、さらに、高精細配線形成(サブμm)を実用化が進められている。2.2.2ディスプレイ(液晶パネル、有機ELパネル)スマートフォンのディスプレイは、現在、液晶パネルが主流である。液晶はそれ自体発色しないので、カラーフィルターを透してカラー表示が出来る。カラーフィルターは主として、大手印刷会社で製造されているのは既知の事である。液晶パネルの高精細化の要求が強まり、伴いカラーフィルターの更なる高精細が求められている。液晶パネルの製造工程で、液晶分子を基板に対して並べる必要があり、基板に配向膜を塗布するのに、フレキソ印刷が使われている。液晶パネルの次世代ディスプレイとして、有機ELパネルが一部、スマートフォンに使用されはじめた。有機ELパネルは液晶パネルに無い利点を持っている。例えば、それ自体が発光(R,G,B)される、輝度が高い等の性能を持っている。しかし、製造工程が蒸着、エッチングなどの、19