ブックタイトル品質管理365日・第6集--短納期・低コスト・デジタル時代の印刷トラブル対策事例集::富士精版印刷株式会社
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品質管理365日・第6集--短納期・低コスト・デジタル時代の印刷トラブル対策事例集::富士精版印刷株式会社
本書刊行に寄せて本書は、経営理念「商いは高利をとらず正直によき品を売れ末は繁盛」をもとに、品質方針である「顧客の期待とニーズに対応し、社会から高い評価を得られる品質の提供」という考えを基盤として積み上げられた実践記録である。石川忠会長の品質管理への取り組み「事故はかくすな。正直に報告し、原因を追究せよ」とは、ヒューマンエラー対策の基本である。しかしながら、人間は本能的にミスや事故を隠す性質があり、現実にこの取り組みを実践するのは容易ではない。そうした意味でも、社員に事故防止への取り組みやルールを徹底し、継続して改善に取り組む姿勢と社内外への情報開示には頭が下がる思いである。米国の安全技術者ハインリッヒの法則によれば、1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景にも300の異常が存在する。大事故の背景にある中小の事故をいかに防いでいくかが、重大事故を起こさないための要因となる。本書の刊行にも尽力された品質管理部門では、事故の背景にあるヒヤリ・ハット事案への対策ミーティングを定期的に開催し事故の未然防止に努めてきた。この取り組みこそが重要であり、社内の風通しやコミュニケーションが悪い組織では、こうした異常・小事故のヒヤリ・ハット情報が集まらないのである。現在のように、短納期対応やコストが掛けられない環境下における品質の維持、向上は容易ではない。一つの方法として、チェックポイントを明確に機器やシステムを活用し、システマチックに行うことがあげられる。また、あらゆる意味で人材が果たす役割も大きく、社員一人ひとりが高い意識をもって次工程へ適合製品を渡すという意識が重要である。とくに、石川会長の「教育は油断をするな。絶えずたゆまず教育し、成長してほしい」という言葉のなかに人材の重要性と人への想いが伝わってくる。風通しのよい企業風土や双方向のコミュニケーションは、品質管理の向上に大きく貢献する。企業のトップをはじめ、社員一丸となって品質管理に取り組み、本書のような、業界でも価値のある実践データを残していただけることに感謝しつつ、今後ともよき品を売り商売繁盛され、業界の発展に寄与されます様祈念しております。公益社団法人日本印刷技術協会会長塚田司郎