ブックタイトル白描源氏物語│富士精版印刷株式会社

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概要

白描源氏物語│富士精版印刷株式会社

源氏の君は一時の心の安らぎを覚えます。今も変わらぬ花散里の優しさに、源氏の君のお顔を見ただけで忘れてしまったかのようです。花散里は、永い途絶えの恨みも辛さも、その後、さりげなく花散里のお部屋をお訪ねになります。女御との昔語りに、源氏の君はしばし桐壺院の御み世よを懐かしみました。橘の花がかぐわしく咲きほころぶお邸で、かつて宮中において源氏の君と思いを交わした人でした。その妹君の三の君(花はな散ちる里さと)は、亡き父帝(桐壺院)の女にょ御うご、麗れいけ景殿女御のお邸へと、お出かけになります。いでんのにょうご五さ月みだ雨れの空が珍しく晴れたある日、世の中は何もかも無常と、引きこもりがちの源氏の君でしたが、この花の散るお邸を探し訪ねてくるのでしょう」(光源氏)「昔と変わらない橘の香を懐かしむほととぎすも、花た散ちるば里なをのた香づをねなてつぞか訪しとふみ郭ほととぎす公花第十散一帖里はなちるさとHanachirusatoれいけいでんほととぎす●郭公初夏に鳴く。その声が人の叫び声のように感じられ、人恋しさを誘う。●麗景殿後宮七殿の一。御在所でその人を称して、敬意を表した。28