ブックタイトル白描源氏物語│富士精版印刷株式会社

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概要

白描源氏物語│富士精版印刷株式会社

22●春とうぐう宮皇太子のこと。光源氏の異母兄の、後の朱すざくのみかど雀帝。その二きさらぎ月の頃、桜の宴が催されます。源氏の君の舞いや詩の見事さに、人々は深い感動を受けます。宴の後の夜も更けて、源氏の君は酔い心地のまま、藤壺の宮にお逢いできるかと、大胆にも後宮をうかがいます。そこへ、「朧おぼろづきよ月夜に似るものぞなき」と歌いながら歩いてくる姫君がいます。源氏の君に袖をとらえられた姫君は、おびえながらもあの源氏の君と知ると、心許して一夜を共にします。再会の約束に二人は扇を交わしました。この朧月夜の姫君は、右大臣家の六の君で、弘こきでん徽殿の女にょうご御の妹君。四月には春とうぐう宮への入じゅだい内も決まっていたのですが、姫君もあの夢のような逢瀬が忘れられなくなります。「私ってかわいそう。私がいなくなったら、草の根分けて地の果てまで逢いにきてくれないなんて。名乗らないくらいで」(朧月夜)憂き身世にやがて消えなば尋ねても草の原をば問はじとや思ふ第八花帖宴はなのえんHana-no-En